「うちのネズミがさ、水を持って行っちゃうんだよね」

昨日ギックリ腰でよろめきながら来たお客様と話していた時のこと。

この季節のギックリ腰は冷えと疲れと寝不足と飲み過ぎ食べ過ぎが原因だから、水分をしっかり摂ってゆっくり休むようにね~!と話していたら、

「うちのネズミがさ、水を持って行っちゃうんだよね~、私が飲むのが足りなくなっちゃうの」とお客様。

過去に大病して健康意識の高いこのお客様はこだわりのペットボトル入り飲料水をお取り寄せして飲んでいる。

ワタシ「えっ!!?ネズミが水飲むの?」

強力な歯でペットボトルかじって飲むんだろうか??

ワタシのアタマの中にネズミがペットボトルをカジガジして穴を空けて水浸しになりながら!水を飲んでいる情景が浮かんだ。。。

こだわりの水をわざわざ苦労してまで飲むなんて、なんと舌の肥えた、違いのわかるネズミなんだろうか!えらい!!

ワタシ「すごいネズミだね!味の違いがわかるんだね~!」

お客様「そうさあ、頭の黒いネズミがね、持って行っちゃうの!」

ワタシ「え!○○さんちのネズミは頭の黒いネズミなの?ペットボトルを持って行っちゃうの??すごいね~どうやって持って行くんだろう?」

何匹ものパンダ風の、体が白くて頭部が黒いネズミが背中にペットボトルを乗せてお神輿担ぐようにわっしょいわっしょいと運んで行く映像が頭に浮かんだ。

まるでおむすび🍙コロリンの昔話みたいじゃあないか!そんなことができるの??

ワタシ「ネズミが運んで行くなんてすごいね~!、見てみたいわ~!」

お客様「ちょっともらって行くわ、って言って持って行っちゃうのよ~」

「?????」

さすがに水を持って行くのはネズミではなく人間だということに気づいたワタシ。
頭に浮かんだ映像はゲゲゲの鬼太郎のネズミ男。。。

お客様「頭の白いネズミじゃなくて黒い方のネズミね」

ワタシ「。。。。。」

頭に浮かんだ映像は白いフードをかぶったのネズミ男と黒いフードをかぶったネズミ男。。。

ネズミが喋る?白でなくて黒?頭の中の映像の脈絡のなさに混乱🌀して黙り込むワタシ。。。

しばし沈黙。。。

お客様「??頭の黒いネズミってわかる?息子のことよ!」

💡💡なあんだ~~やっとわかった!!!😲😲

「ネズミ」はドロボウの意味で、黒い頭は白髪頭のダンナではなく若い息子のことを言っていたのだ。

お客様の家は兼業農家で家屋の屋根裏にネズミが住んでいて食べ物荒らされたりするらしい。

コミュニケーションを学ぶ講座で聞いた「知覚差異」

何かを説明伝達するとき、人は自分の見ている映像を人も同じように見えるだろう、と思いこんでしまう傾向があり、言ったつもり伝えたつもりが全然伝わっていなかったり、誤解が生じていたりすることがままある、ということ。

アスペだろうがなかろうが人の認識の仕方は千差万別で同じではないということだ。

ただアスペ脳の人は定型脳の人とはその差異が極めて大きく、また自分の世界観の中で独特な解釈をしがちだ。

・言葉をそのまま受け止める傾向性
・独自な言葉の解釈理解をする傾向性

この2つが重なることでとんでもない事態に発展することがある。

昔「天然だよね~!」と笑われて、もしかしてお笑いの才能あるのかも?と思ったのはこの「知覚差異」があまりにぶっ飛んでいて独特だったからだ。

お客様はまさかワタシのアタマの中で本気でおむすびコロリンやゲゲゲの鬼太郎の世界が展開されていたとは思いもよらないことだったろう(笑)
しかも困ったことに一端浮かんだ映像はなかなか消えなくて何回も浮かんでくる。

この映像を元に話を膨らませてショートショートの物語でも書けそうなくらいだ。

そういえば昔、星新一の小説にハマっていたなあ。短い物語の中で展開する奇想天外な世界と最後のオチの意外性が気持ちよかった。思い出した!また読み返したくなった。。。
(こういう感じに脈絡なくいろんな記憶が立ち上がってくるので収拾つかなくなる😅😅)

誤解や行違いも笑い話ですむならいいけど、これが仕事の場だったら「天然」では済まされない。

アスペの人が「使えないヤツ」「理解力がないヤツ」「融通がきかない」等と思われてしまうのは、言葉の理解が世間一般の大多数の解釈と違う場合が多いからだ。

社交辞令がわからない、暗黙の了解、ルールがわからない。冗談や皮肉がわからずストレートに返してしまい周囲を凍らせる。オブラートに包んで伝えるといった高度な技術はない。

アスペに対しては思わせぶりな言葉や態度はまず(正確には)伝わらないと思っていたら間違いない。

「言わなくてもこれくらいわかるはずだ!」

と大多数の定型脳の人は言うけれど、ホント分からないし、頑張って理解しようとすればするほどおかしな(相手がわかって欲しい方向とはかけ離れた)方向に行ってしまう。

今の日本社会はいろいろな意味で余裕がなくてギスギスしているから、アスペはとかく肩身が狭い。

何が悪いのかよくわからず、どうしたらいいのかもよくわからず、職場に居づらくなってしまう人も多いんじゃないかな。

仕事柄、お客様から

「職場でこういう人がいてね、ホント腹立つのよ!!」

といった話を聞くことがよくあって、

「ああ~わかるよなあ、これだけからだが余裕なくつらい状態でアスペ脳の相手をするのは大変だよなあ、、、」

と自分事のように感じてしまうワタシ。

せめて目の前にいるお客様のからだがゆるんで楽になることで、その職場にいるであろうアスペ脳な人のドタバタを楽しめる余裕ができることを祈ろう。。。

※先日の東京出張で買ってきた本。
「いきづらさをかかえる少数派の「種族」たち」
「私たちにしか見えない世界がある」

なんてそそられる表現思わず買ってしまった!