匂い、香りに敏感で自分でいうのもなんだけど「鼻が利く」ほうだ。

食べるときでも鼻を近づけて匂いをくんくん嗅いでから食べるくせがあって同席する人から笑われたりすることもある。

もう少し優雅な物腰ならばいかにも通といった雰囲気を醸し出せるのだが反射的に匂いを嗅いでしまうのでとても残念な感じ。😅😅

犬が鼻を近づけてクンクンしている姿をみているだけで、ミラーリングしてしまいそうな自分がいる。

五感の中で嗅覚がかなり優位なのは間違いない。
人間に対しても雰囲気などを表現するときに「あの人はクサい」(わざとらしい)とか、「懐かしい匂いがする」(親しみやすい)とかを使うことが多い。
発する言葉を観察することでその人が五感の中でどの感覚を主に使っているのか想像できる。
『五感と言葉』なんて研究テーマも面白そうだな。。。

嗅覚過敏の特性で忘れられない思い出の一つが理科実験室での出来事だ。

小学高学年の時、理科の授業中で物質の化学反応の実験をしていた時のこと。

何の物質の液体だったか忘れたが、いつもの反応で思わずビーカーに鼻を近づけてくんくんしてしまった。

多分刺激の強い塩素系の液体だったのだろう、その瞬間鼻の穴に釘を突っ込まれたような激烈な衝撃が走り、文字通りのけ反って後ろにひっくり返りそうになった。

その時こんなヤバイもの小学生が扱って大丈夫なのか?と思ったものだ。(自分も小学生なのにね😅)

クラスメイトにこの危険性を教えてあげなきゃ!と思って、周りを見渡したが皆何事もない感じで化学反応の実験を進めている。

「ねぇねぇこれ臭くない?」

「うーん、変な匂いするけどそれが反応しているってことじゃない?」

誰もが液体に鼻を近づけて嗅ぐわけでもないし、またその臭いを同じような程度で感知するわけでもないのだ、ということを思い知らされた事件(私にとっては!思い出すと今でも鼻を押さえたくなる!)だった。

「発達というのはもともと備わっていた感覚を取捨選択して閉じていく過程、つまり2歳から6歳までの間に、ヒトは感じすぎる脳を、適正な感度の脳に変え、外界適応力を上げるのである」
黒川伊保子『共感障害~話が通じないの正体』

ということを脳の専門家が書いていて、なるほどなあ、と思った。

発達障害というのは、社会的生活をするために本来持っていた動物的な、五感全体を使って世界を認識していた感覚を閉じていくという発達過程が、何らかの理由で閉じきっていない状態であり、閉じているどころか、つながりすぎている状態なのだ、というのだ。

以前、発達障害というのは一種の先祖返り現象ではないのか?と書いたことがあった。
これを障害ととるのか、先祖返り(もしくは進化)ととるかは、何に価値を置くかによってこれから変わってくるのだろう。

少なくとも臭いに異常に敏感、というワタシの特性が「鼻が利く」という言葉通りに、コミュニケーションに苦手なアスペ的生きづらさの中でもワタシを何とか無事にここまで連れてきてくれたのは間違いないので、目についたものをクンクンしてしまう癖はこれからもなくならないのだろう。

東京で道を歩いていたらなんとも言えない懐かしい匂いがして思わず振り返った。

マンションの入り口の植え込みに沈丁花が花を開いていた。

春まだ浅い時期に仄かに清楚な香りを漂わす沈丁花、子供の頃から大好きだ。

花言葉は永遠、不滅、栄光。

常緑樹であることからついた花言葉。

雌雄同株な植物が多いなかで、古い形を保っている雌雄異株である、というところも心惹かれる理由なのかな。

植物の進化の過程であえて少数派の選択をしている、って感じで親近感が湧く。こんなにいい香りなのに精油として抽出が困難で、アロマ精油として出回っていない、この香りはこの時期に、生でしか楽しめない、そんなあり方にもなぜか共感してしまう。

子供の頃に住んでいた横浜では沈丁花が庭木としてかなりの家で植わっていて、毎年春の訪れを感じさせてくれていた。
駒ヶ根に移住してからは沈丁花にはほとんどお目にかかれないのでとっても寂しい。

伊那谷の冬の寒さは「凍みる」という言葉通りに厳しいので常緑樹である沈丁花は冬を越せないのだろう。

近年の温暖化で駒ヶ根で沈丁花を育てられることができるようになるのなら、温暖化も悪くない、なんて考えてしまう。

以前日本産アロマ精油の講習会で、視覚が理性や思考を司る大脳新皮質を刺激するのに対して、嗅覚は感情、本能を司る大脳辺縁系と呼ばれる部分に作用する、と学んだことがある。

現代社会はあまりに視覚優位(目からの情報インプットが主流)に傾いていて、脳の使いかたのアンバランスがストレスを生んでいる。アロマで癒される感覚は嗅覚を通してこのアンバランスを調整しているのだ。

アスペの生きづらさとして挙げられる五感の敏感さは、もしかしたら脳のアンバランスを調整していく過程の一つなのかもしれない。
生物としての生存適応力を上げているのかもしれないのだ。

アスペ脳は進化したものなのか、退化したものなのか、答えは未来に生きる子供たちが教えてくれるのだろう。

※沈丁花の花🌸見ているだけでいい匂いが漂ってくる感じ~~💕